【頂き物】ハロウィン【菊地寛さん】

ハロウィンメガスタ

メガトロンは時に天才と呼ばれる。
メガトロンは時に鬼才と評される。
メガトロンは時に凶暴で傲慢、誇大妄想の徒と怖れられた。

どれひとつ間違いではない。

すべてを内包する、それがメガトロンという男だ。

天才で鬼才で傲慢かつ凶暴、誇大妄想も甚だしい、確かにそうだ……そうなのだが、史上の身を滅ぼした異端児と彼が違うのは、彼にとってそのどれしもが『仮面』、相手によって変えられる人格の一端でしかないと言う事。
従って、彼の真実を求める者がたどり着く答えは、こうだ。

メガトロンは複雑な男だ。

その内部の、セイバートロンの旧市街のメトロよりも絡み合った先を求め、たどり着いた者はいまだ一人も居ない。

メガトロンは無言のままでジッと見下ろした。
昨日研いたはずの床にシミを見つけたような目付きだと、第三者なら形容するだろう。
「あ、あのですね、閣下! 別に毒殺をですね、企てるためとかではなくてですね……!」
そう、元は多少見れるはずの顔をひきつった愛想笑いで台無しにした部下は、いつものごとくクドクドと言い訳をしている。
全身黄色い斑模様となって。
傍らには破裂したエネルゴン・カボチャ。最近ドリラーと共に農作業を始めたショックウェーブが、初めてにしては上出来だと届けて来た作物の一部だ。
勿論、彼はメガトロンに野菜のお裾分けをするような気性ではないし、農家のご近所さんでもない。
これは荒廃したセイバートロンで効率よくエネルゴンを得るため、地球で行われていた農作業を真似てのエネルギー事業の一環なのだ。持ち込んだ地球の野菜を元に、『葉』という小さいが沢山のソーラーパネルから、『根』と言う地面に網目のように張り巡らせた吸収菅から、エネルギーを『実』に集め、時間をかけて固体化する装置をショックウェーブを長とする科学者・技術者たちが開発した。植物の多様性まで模したのは、スペースの確保、エネルギーの種類にあえて差異を出す事によって、使用目的別のエネルゴンを収穫するためである。
ただ、
ーーとりあえず成功か。だが更なる改良と実験を繰り返すべきだな。
そうストイックに言い置いて夕日のなかをドリラーと共に去っていったショックウェーブが、どこから調達してきたのか、麦わら帽子と首に手拭いを装備していたから、仕事の枠を超えて農作業にハマり始めているのは誰の目にも明らかであったが。
そうした経緯で届けられた農産物型のエネルゴンだが、勿論メガトロンが料理をするはずもなく、厨房の片隅に放置されることとなる。いずれメイドにでも調理させようと思っていたが、ここしばらくいつも以上に多忙であったメガトロンは、珍しくもその存在をすっかり失念していたのだ。
だから部下がこの野菜をくすねたり食べたりしてしまっても、メガトロンはさほど反応しなかっただろう。
彼は気まぐれな男だし、怒りっぽい面も多分にあるが、ケチという特性だけはない。
だが、それでも、ちょっと目を離した隙に、我が副官が厨房(と自身の機体)を新進気鋭のデザイナーでも躊躇う斬新過ぎる柄に模様替えしてのけた事には、苦言以上の発言が必要なのは明らかであった。
「スタースクリームよ、貴様のふやけたブレインでも理解できるよう、もう一度問うてやろう。何をやっている…いや、いた?」
「あの、あの、このカボチャと言うやつがですね、毒を含んでないか、閣下のお口に入る前に確認をですね……」
「スタースクリーム」
「確認のため、切り分けようとしたら突然の爆発を! きっとショックウェーブのやつめが平和に乗じ、ついに野心を剥き出しに閣下を亡き者にせんと爆弾を…!」
「スタースクリーム!!」
野獣の吼哄にも似た破壊大帝の一喝に、掃除をする隙をうかがっていたメイドと従僕は逃げ出し、スタースクリームは床のシミのごとくひれ伏した。
いつものメガトロンなら、このまま部下を蹴りあげ踏み潰すコースだったろう。だが、スタースクリームがさっきまで立っていた後ろの壁が、特徴的な機体の形そのままに被害を免れていたのを見て思わず吹き出しかけたのを堪えたせいで、幸いにもメガトロンの気分は多少和んでしまっていた。他の部下では出来ない芸当だと、ふとメガトロンは感心しかけた己を律し、這いつくばる部下の顎をグイッと掴みあげた。
「スタースクリーム?」
この上でさらに韜晦の道を探ればどうなるか、おそらくセイバートロンで一番理解しているスタースクリームは、観念したように目前の迫力に満ち溢れ過ぎた美貌から視線を逸らした。
「ネメシスと地球を往復していた折、雛たちの退屈しのぎにと閲覧を許可した地球の情報で、アレらがあれこれ余計な知識をつけまして」
「知っている」
メガトロンに初めて雛達を謁見させた際、破壊大帝の迫力に圧倒されスタースクリームの足元に寄り集まってぶるぶる震えながらも、雛たちは妙に断固とした口調で言ったのだ。

ーーかっかとマスターはいつけっこんしきするの?

面妖な言葉と、妙に慌てて雛をかき集めて退室しようとする部下に疑念を覚え、素早く情報検索をしたメガトロンはとても……そう、それはそれは大層気まずい思いをした。
そして、普段雛に何と言って聞かせていたのか知らないが消え入りたいような顔で逃げ出した部下の部屋を、その夜訪れたのだ。
忘れられるはずがない。
「それで?」
あの寝室で妙に恥じらうこの愚か者を朝まで掻き乱した記録をブレインで再生させながら、メガトロンは続きを促した。多少声にまろやかさが出たが、男性型として生を受けた以上、下半身の満足の記憶を傍らにして不機嫌さは維持できない。
「それで、雛たちがどうした?」
「あの、地球の野蛮で滑稽な風習で『ハロウィン』と申す行事がありまして。化け物の仮装をしたり菓子を強奪するつまらぬ行動をとる祭りですが、雛たちはこれがいたく気に入っておりまして…」
緊張感があるのかないのか、注意深く様子を窺いつつも、スタースクリームは手近な布で顔の斑を拭き取っている。
「つまり、雛たちのために菓子の用意か? カボチャでか?」
「カボチャを多用する妙な風習でごさいます。あと、その、雛たちの菓子はすでにレーザーウェーブに用意を頼み、配り終えまして…」
「では自分用か、この大きなカボチャを丸ごと使用して?」
メガトロンの記憶にある限り、航空兵らしくスタースクリームは少食である。
「いえ、私の分では」
「サンダークラッカーどもにか?」
「あの者らになら、手作りは致しません」
確かに、知る限りスタースクリームは家事と名のつくものが苦手だ。可愛がってはいるが、部下ごときの為に多大な労力を費やすはずもない。
「ではサウンドウェーブか?」
「あの男は味音痴です、生のカボチャで十分事足りるかと」
「ではショックウェーブにか?」
「あの男には、兄のレーザーウェーブが手作り菓子をたらふく差し入れしているはずです」
「では」
すでに答えには思い至っているが、メガトロンはあえて訊いた。
「この屋敷の主人へか?」
スタースクリームの淡い色の機体が、急速に上昇した体熱によって、その身にまとう刺青を鮮やかに浮かび上がらせる。
機体をいつもの倍は速く駆け巡る循環オイルや、排熱ファンの狂おしい音を、メガトロンは聞いたような気がした。
なんと分かりやすい奴だろう。
メガトロンは胸中で笑いを噛み殺した。
「勝手をしました、お許しを、かっ…」
「ーー先程、貴様はこのカボチャが毒性の物である可能性を示唆した」
「へ?」
大きなアイカメラが間抜けにパチパチと瞬く。
「さらには貴様は、爆発物の可能性さえありと口にした」
「いえ、あの、それは…」
「すなわち、お前はこの危険物を使って、この屋敷の主人を亡き者にせんと企んだという訳だな」
焦りを含んでせわしなく瞬くアイカメラに、ついにメガトロンはにやりと獰猛に笑った。
「スタースクリーム、親しいこの屋敷の主人のため、俺は貴様を罰する必要がある、分かるな?」
「わ、分かりません…」
期待に熱を持っているアイカメラで、あえて抵抗する。誤魔化しきれない本心。
反抗を装った愛情も。

そう、こういう所が、この部下を手放したくない理由だ。

メガトロンは、ひょいと、退路を求めオロオロする部下の機体を小脇に抱え上げる。
熱く、熟した甘い匂いを放つそれを。
「確か、決まり文句があっただろう、トリック・オア・トリートとか言ったか」
「閣下、ご存じで?!」
「俺なら両方だがな」
口でも、下半身でも、楽しみも享受する。
「さて、ハロウィンとやらを楽しもうではないか」
返答は無かったが、スタースクリームにもとより拒否権は無いのだ。

寝台に放り出されたスタースクリームは慌てて起き上がろうともがいたが、特徴的な体型のためにそれは困難を伴い、反してメガトロンは素早かった。
「ひっ!」
膝を舐めあげられスタースクリームの口から妙な声が出たが、勿論メガトロンが止めるはずもない。
大きな舌で、脚を中心に飛び散ったままだったカボチャの成れの果てを舐めとっていく。彼の味覚にカボチャはやや甘く青臭くもあったが、エネルゴンの塊である以上、機体にはエネルギーとなる。丁度空腹を覚えていたメガトロンは…そう、だから厨房に足を運んだのだ…暴れる機体を押さえ込み、着実にカボチャを舐めとっていく。まるでスタースクリームという皿で食事を楽しむかのように。
左腿の、カボチャに隠れていた刺青があらわになった。
隙間に、コードに、舌を這わせる。溝の一本も逃さぬように、丹念に、丹念にむっちりと張った太腿から関節の内側、機体に反して小ぶりの爪先まで。
時折歯を立てるを、薄い機体が面白いくらいに揺れた。
「あ、駄目です閣下、おやめを!」
「何を今更」
メガトロンとスタースクリームは、呼び方は人によって変わるだろうが、つまりはそういう関係だ、昔から。
だがスタースクリームは、いつでも心身を揃えてメガトロンに甘えたり求めたり出来る性格ではない、昔から。
それもまた、メガトロンには愉快だ。防衛長官時代から、彼に媚びる花は引きもきらなかった。そんな中で、誰よりも想いが強い癖に、みずからの想いにさえ抵抗し続けたスタースクリームは、別格の花……いや、小鳥だったのだ。
「ふん、こんなところまでにまでカボチャか」
「あ、あんッ! お許しください、こ、このような昼ひなかから、はしたないですから……ああっ!」
舌を這わされる度に震える脚を堪えるように、スタースクリームは懇願した。
「閣下…メガトロン様……雛がまだ起きてるんです…どうか!」
「ほう、俺に意見するかスタースクリームよ。このようにはしたない機体の貴様が」
「私は…--アッ!」
メガトロンは細い足首を掴んで、左右に容赦なく開いた。
途端に、メガトロンの眼下に絶景が広がる。
あらわになった股間部は、まだハッチに覆われているが、その隙間からジワジワと唾液とは違う粘性の液を滲ませているのだ。
鋭利な爪先でカリカリと隙間をたどると、聴覚センサーに心地好い嬌声とともに腰は揺れ、ハッチははしたなく緩み、愛液はさらに滲み出てくる。その愛液をすくいとるように舌でたどれば、押さえつけた機体から抵抗の気配は消えた。ただ荒い排気と、手のなかでますます上がっていく熱。
「開けろ」
「メガトロン様…」
メガトロンは愛すべき太腿にかりりと一噛みして言った。
「開けろ」
観念したのか、開いたハッチからは、予想どうりに愛液がとろとろと溢れ出る。
メガトロンは顔を近づけた。
排気に合わせてうごめく、まっさらな状態から己が開発し、自分の欲望を何度となく飲み込み戦慄いたそこに。
「ふむ、匂うぞスタースクリーム。発情したメス匂いだ」
「!!!!」
メガトロンの言葉に、蒸気を噴きそうなほど赤面したスタースクリームのレセプタは、ぴゅっと新たな液を溢れさせた。
普段もこの機体くらい素直なら良いが…。
ーーいや。
メガトロンは内心でかぶりを振った。
こやつはこのくらいだから面白い。単純でありながら意地っ張りで頑固、その二面性が飽きさせない。
複雑ぶっている癖に単純でつまらない輩が溢れるこの世界で、今日も自分を楽しませるジェットに、褒美を与えるようにそのレセプタを舐め始める。
彼の舌は長く、厚い。
それが入り口を舐めあげて、奥へ奥へ侵入を始めてしまえば、スタースクリームももはや意地など張る余裕は無い。
「アー、アアーーッ!! や、だめで…だめぇ……あんッ!」
喉を反らせて、男の自尊心をくすぐる好い声で鳴きはじめた小鳥に、舌の動きも滑らかになる。
腰を押さえつけ、男に快楽を与える為に備わったとしか思えない絶妙な凹凸を、隅々まで暴いていく。すでに溢れる程に潤っていた場所は、いまや漏らしたのかと錯覚するほどになり、メガトロンの顎をたっぷりと濡らした。
この機体なら隅々まで心得ている動きに無駄はなく、弱い部分を舌先でこねまわしながら、銀色の手はキャノピーを、翼に次いで敏感なそこを爪でたどり悲鳴を上げさせる。
「ア、メ、メガトロン様、メガさまァ!!」
舌を痙攣しながら締め上げてくるレセプタに頃合いやよしと、メガトロンは唾液以外の液で濡れそぼった舌を引き抜く。
明るいなか、たらたらと愛液を溢れさせながらひくつくそこの卑猥さは、彼をいたく満足させた。
「どうして欲しい、スタースクリーム」
立て続けの快楽に啜り泣くリズムに合わせてヒクヒクとうごめくそこに、メガトロンは囁いた。
振動にすら感じるのか、またトクリと液が溢れる。「メガさま」懇願する声の響き。今、こやつが何を望むかなど、接続のいろはも分からぬ神官だとて理解するだろう。
だが、誘うように揺れる腰を押さえつけメガトロンは再度囁き、憐れな獲物に瀕死の声を上げさせる。
「メガ、メガトロンさま、お願いです!お願いですから…ヒャアアン!」
「スタースクリーム」
上がる悲鳴、そして嗚咽。
そして、快楽のあまり舌足らずな叫び。
「メガ様のばかぁ! 私がいつも、いつも」
メガトロンはアイカメラを細める。
満足げに。
「いつだって、貴方が欲しいって、知ってるくせにぃ」
ひんひんと子供のように泣いているスタースクリームの太腿に、頬ずりするようにメガトロンは呟いた。
「ああ、そうだな」
おねだりは合格ラインだ。
褒美の前払いと、メガトロンは待ちきれないレセプタにくちづけ、チュッと蜜を吸い上げる。
瞬間、甲高い悲鳴と共に顔に暖かな物が飛び散った。
それは当人の胸を過ぎ、頬までも濡らす。
「ふむ……潮を噴くほどよかったか?」
無駄にプライドの高いやつだ、きっと真っ赤になって泣きながら文句を喚くだろう、そう思いながら顔を覗き込むと、首筋に腕が絡みついてきて……メガトロンは少し驚いた。
そして、寄せられる顔。
メガトロンの顔に飛び散った欲望の雫を舐める小さな舌の動きと、「すいません…」と蚊の鳴くような恥らいに満ちた声。
思わず見詰めあうと、そっと、口にキスをされた。
絡み合った舌は、何処に残っていたのかカボチャの味がして、ふと欲望も忘れて2人で笑ってしまう。
「メガ様…わたしは」
指で口を辿りながら、スタースクリームが言った。
「気持ちよくされるのも嬉しいです。ですが、もっと貴方の顔を見て、キスもしたい」
こんな時でもないと見せない素直な顔が、男の欲望をどれほど煽るか、この男は知りもしないのだろう。
まったく、まったくもって、単純なくせに扱いにくく、その上……好もしい奴だ。
「まったく……この愚か者めが」

メガトロンは複雑な男だ。

だが、欲望の前では、時に単純となる。
それが、今だ。
折れるほど抱きすくめてキスをしたメガトロンに下で、スタースクリームは熱い溜息のような笑い声を漏らした。
幸せの証のような声だと、メガトロンは思った。

結局、ハロウィンの夜はずっと寝台で揺さぶられてしまい、そのうえ腰痛で数日間寝込む羽目にもなり、メガトロンのためには何もできなかった。
厨房で、今朝も届けられていた大きなカボチャをじろりと見下ろしながら、スタースクリームは前回の反省をしている。
勿論、寝室での件ではない。アレはメガトロンの手におえない性欲のせいだ、自分は悪くない。
反省は料理のほうだ。
硬いカボチャは小さく切ってから加熱すると良いと聞き、銃器を使用したのがそもそもの間違いだった。カボチャが爆発物とは知らなかったのだ。
「だが、同じミスを犯す私ではない」
幸い、地球の文化行事として、『冬至』なるイベントが控えている。パンプキン・パイでは相応しくないらしいから、今度は煮つけでいこう。
スタースクリームは、目の前にでかい顔でたたずむカボチャに、敵兵士の首もひとふりで切り飛ばす内蔵ピザカッター…もとい回転式カッターブレードを向け、寸でのところで止めた。
目の前で、銀色の大柄な機体が腕組していたから。
「いつもながら懲りぬ奴だな、スタースクリーム」
「閣下!」
「また下僕どもに掃除の労をとらせるつもりか?」
「いえ、今度こそは」
「それとも俺に再び舐めて欲しいか?」
「そ、そのような!」
ニヤニヤ笑いながら、メガトロンは大柄な機体に反して優雅な身ごなしで背後に立った……何やら布切れを手に。
「メガトロン様?」
「おとなしくしておれ」
そのままの姿勢で硬直するスタースクリームの機体前面に布を被せ、背後で紐を結び、最後にうなじを一舐めして悲鳴をあげさせてから、メガトロンは離れた。
「ふむ、悪くない」
「あ、あの…閣下、これは」
「エプロンとかいう、調理時の汚れ避けだな。地球人も上手いことを考える」
スタースクリームは、みずからの機体をくるむピンク色の布地とメガトロンを交互に見やった。
「私に?」
「他にくれてやる相手はおらん、少なくともカボチャを破裂させるのはお前だけだ? …ーーなんだ、変な顔をして」
「あ、あの…私の知る限りエプロンを贈るのは、子から母親へか、もしくは」
「もしくは?」
「あの、夫から、妻へ…」
真っ赤になって言うその顔に、メガトロンは笑うしかない。
「あ、あの、すいません、特に閣下に他意などないと、その…」
「その通りだ……と言ったら?」
ぴたりと再び硬直する機体。
その手がぶるぶると、何かを堪えるようにカボチャを鷲掴んでいる。

メガトロンは複雑な男だ。
その内部の、セイバートロンの旧市街のメトロよりも絡み合った先を求め、たどり着いた者はいまだ一人も居ない。

だが唯一ひとりだけ、例外が

それがスタースクリーム、こいつだ。
彼はあまりにも見えすぎて視認出来ない強い陽射しのように、メガトロンの複雑な内部に一筋さしこむ白い光だった。
「嬉しいか?」
にやりと笑うメガトロンに、スタースクリームは俯いて「はい」と言った。
そしてまた、メガトロンの予想さえも及ばない事をやってのけたのだった。
音は、思ったより小さかった。
しかし、飛び散る勢いは無視できないものだった。
「うひゃあああ!!」
間抜けな悲鳴を、メガトロンは呆然と聴いた。

羞恥のあまり力を込めすぎたスタースクリームの手の中でカボチャが破裂するなど、流石のメガトロンでも予想出来なくて当然だ

一瞬にして黄色いまだら模様となったメガトロンは、カボチャの汁を滴らせながらそっと逃げ出そうとしていた愚か者を掴む。エプロン紐がこんな場合に役立つとは新発見だ。
「あの、閣下、お許しを!! わざとではありませ……ひゃああ!」
肩に担ぎ上げられて妙な声を上げるスタースクリームに、メガトロンは凄みのある笑顔で言った。

「さて、今日は風呂に入るイベントといこうではないか」

勿論、スタースクリームに拒否権はないのだ。

終わり

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菊地さんからハロウィンメガスタいただきました!
かぼちゃまみれのスタスククリームパイはこちらになりますハァハァ!
スタスクのふとももなめしゃぶる閣下!!レセプタにねじこまれる舌!!
そしてねじこまれるメガチン様!!!ハァハァ!
ごちそうさまでした!いつもありがとうございます!
ハァハァ!(*´益`*)ニタァハァハァ!

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